会報誌Natiful

【Vol.63】ネイリスト応援企画

世界無比。厳重管理のもと公平に、公正に、同じ目線で。ネイル競技コンテストを主体とするJNAのイベント、その競技審査は、どんな人たちが行ってるのでしょうか?何を基準に、どこに視点をおいて、審査されてるのでしょうか。「INTER NATIONAL NAIL EXPO 2006」の審査に携わられた方々にお話を伺いました。

ネイル競技コンテストを主体とするJNAのイベント、その競技審査は、どんな人たちが行ってるのでしょうか?何を基準に、どこに視点をおいて、審査されてるのでしょうか。「INTER NATIONAL NAIL EXPO 2006」の審査に携わられた方々にお話を伺いました。滝本美奈子 審査委員会委員長、水野義夫 大会運営委員長、仲曽根幸子 大会実行委員長、北村智恵 大会審査員長、田能純子 大会副実行委員長

審査員はJNA本部認定講師、チャンピオン経験者から選出

仲宗根:コンテストでは、努力した結果、報われた人もいれば、報われない人もいます。なかには審査をどのようにしているか気になる方もいると思うので、出場選手が競技のことだけに集中できるよう、忌憚のないお話しを頂けないでしょうか。
北村:まず審査員ですが、JNA認定講師の中から本部認定講師を主体に選びます。歴代のチャンピオンも含みますし、JNAネイリスト技能検定試験での試験官としてのキャリアなども選定の対象としております。
仲宗根:JNA技能検定の1級をとるだけでも難しいのに、認定講師はさらにハードルが高く、実務経験3年以上で受験資格が得られるのです。本部認定講師ともなると、認定講師として2年以上のキャリアを最低必要条件としますから、審査員として選ばれた人たちはかなりの技術とキャリアを重ねた人ということになりますね。

北村:審査員としてのあり方や、目線の統一を図ることも大切なので、何回か打合せたうえで審査に臨んでもらうようにしています。


運・不運も競技を左右。総合得点でファイナル審査へ

田能:今回の全日本ネイル選手権では、513名の選手が出場する競技がありました。
水野:プロ部門のフレンチスカルプチュアですね。
仲宗根:ネイル史上最高。
水野:世界初でしょう。
仲宗根:そんな大人数を審査員全員で見ていたら1~2日かかってしまいます。3名ずつに分けて配置する、ブロック審査にならざるをえませんね。
でも競技者としては、“自分のブロックが上位に入る上手な人ばかり固まっていたら”と、心配になるようですね。

水野:ブロックごとにノミネート通過の人数を決めているわけではないので、総合ポイントでファイナル審査に上がっていけるのですが。
北村:ファイナル審査では、審査員一人ひとりが全員を見ます。きれいか、完成度の高さはどうか、誰が見ても一目瞭然。それでも作品に順位をつけていく非情さ、心苦しさを感じています。
仲宗根:今回の審査をした羽田由紀さん(アジアネイルフェスティバルin大阪2006のグランドチャンピオン)に感想を聞いてみたんですよ。「審査がこんなに大変だと思わなかった。優劣をつけることに、ツライ気持ちになる」って言うんですね。「なんで予選落ちしたのだろうって思ったこともあるけれど、コンテストには運・不運があることをやっと納得しました」とも言っていました。
水野:競技をする環境にも左右されますね。競技席がエアコンの吹き出し口に近かったり、ギャラリーが見つめるロープの側になるかも、運・不運。
仲宗根:だから次回はわからない。誰にでもチャンスはあるってことですよ。
北村:ネイルだけではなく、あらゆる競技に言えることですね。

カーテンジャッジの功罪。アメリカの競技が衰退した理由

仲宗根:「なぜ、カーテンジャッジをしないのか」って意見もありますが、大人数の審査では、誰のモデルかなんていちいち覚えていられませんよ。モデルの顔が見えたからといって、私たちはジャッジボードのエントリー番号と作品(モデル)番号だけに集中しているので、誰の作品かまで考えて審査しているわけではありません。
水野:カーテンジャッジは不可能です。ラスベガス(NAILYMPICS)やロス(ISSEショー)では100名程度のモデルを4~5時間も拘束しています。
仲宗根:30名を5時間待たせたケースもありますよ。それほどモデルに負担を負わせてもカーテンジャッジにこだわるのは、審査員が不正するというのが前提になっているのでしょうか。

水野:性悪説からの発想ですね。人は平等に教育を受けても疑心暗鬼になったり。もしくは、コンテストの運営側に問題があるかですね。
北村:最近、アメリカのコンテストがふるいませんね。
水野:廉価なアジア系のネイルサロンが増えたことも、コンテストに出場する技術者が育たなくなった原因です。
仲宗根:競技会場ではメーカーのユニフォームを着せていますしね。
水野:メーカー色があまりに強くなりすぎて、コンテストはスポンサーの商品拡販会みたいになってしまいました。
日本のコンテストは世界の見本になります。JNAはネイルの王道として堂々と行けばいいのです。海外からも絶賛されているのですから。

公正な審査をするため、審査員も緊張しています。

北村:私たちは公正に審査を行うために、出来る限りの手だてをとっています。「あの学校だから…」といった詮索を避けるため、審査員の配置にも気を配ります。
仲宗根:審査員個々に対しても、どのブロックを担当するか当日ぎりぎりまで知らせませんし。
北村:審査員名が入った配置表も持ち出し禁止。選手のエントリーナンバーは第3者がシャッフルしているので、私たちも当日までわかりません。
水野:ナンバーは申込み順に振っているのかと思っていました。
仲宗根:ブロック審査員を2人でなく3人にしているのも、公正を期するため。おかしな採点をしたら審査委員会のチェックですぐわかるので、その人にとっても不名誉なことになります。
北村:「採点の仕方如何では、次回から審査員を外しますよ」と事前に通達しています。人によって甘い採点の人、辛い採点の人がいますが、いつも甘い人が突然辛い点数をつけた時には理由を聞く必要があります。
仲宗根:採点にブレの多い人は何を基準にしているかですね。
北村:同じ目線で審査するため、見方の勉強を教育委員会でやって頂き、より公平に、みんなに納得してもらえる審査を追求していきたいですね。
仲宗根:いつも思うのですが、モデルを審査するとき、やさしく手を取って丁寧に見てあげたい。でもスケジュールが混んでいると、手の扱いも素っ気なくて申し訳ないと思いますよ。
北村:スピーディに審査したい、その表われですね。実際のところ、審査員も緊張の中、審査を行っています。
水野:責任感という緊張ですね。
北村:採点はマークシート方式で行っています。
仲宗根:採点の時、ジャッジボードをきつく握りしめるから、終わっても指が固まって動かせない人もいますよ。


滝本:流れとしては、審査終了後、ジャッジペーパーは審査委員会でチェックして、集計室に運びます。
仲宗根:集計室は、審査員長でも入室は不可。JNA事務局員立ち会いの下、機械による集計がされているんですよね。
田能:集計室ではジャッジペーパーの修正が出来ないように、筆記用具も持ち込み禁止。点数はマークシートの読み込みマシーンが計算するので、人間の手では改ざんが出来ません。絶対、不正が出来ない厳重管理になっています。

競技は出場し続けてこそ、グラチャン日本一の花が咲く

水野:以前から注目していたハード・コンペティターの羽田由紀さんがグランドチャンピオン(GC(グラチャン))になった時は、とても嬉しかった。何十回出場してもなかなかチャンスに恵まれず、その都度気持ちを切り替えてチャレンジされたのはスゴイことです。みんな、羽田さんのようにどんどん前に行った方がいいですよ。
仲宗根:GC(グラチャン)は、ネイルケアとフレンチスカルプチュアの2種目合計点で決めます。近頃、2種目とも1位の人がGC(グラチャン)になるケースはありませんね。
田能:審査がノミネート制に変わってから、1位の人がGC(グラチャン)になる確率が低くなっています。
水野:ケアとスカルプの両方、ノミネートを通ることが難しいです。エキスポでGC(グラチャン)になった穂刈美保さんは、ネイルケアは1位でしたが、スカルプはこれからの課題だと言ってますし、スカルプで1位だった岩井智恵さんもケアは良くなかった。5回、10回と出場し続けることで、結果に結びつくものだと思います。
滝本:エキスポのプロ部門で、フレンチスカルプチュアの出場者が500名以上に比べて、ネイルケアは338名です。

水野:ネイルケアにもっと出場してほしいですね。日本人特有の繊細で完成度が高いネイルケアは、世界に類のないものです。サロンワークにも直結するものですし。
仲宗根:ジェシカさんの流れを、日本独自に育ててきたものです。ネイルケアを大切にというコンテストは、どこの国もやっていません。
北村:きれいな爪は誰が見ても間違いなくきれい。アートがきれいなのも、美しい爪の上に作っているからです。
仲宗根:選手は競技の審査が終わったら、審査員に質問をしていいんですよ。アメリカの審査員をしていたときに言われたことは、順位まで言ってはいけないけれど、親切に教えてあげなさいって。自分の先生だけでなく、よその先生の意見を聞くチャンスです。
水野:次につなげるためにですね。
仲宗根:選手の皆さんにお願いしたいことは、出場したからには最後まで残っていてほしいのです。表彰式のステージに上る人を見て、どんな作品を作ったかを見て、その悔しさを次の大会につなげてほしい。いつかあのステージに上がりたいと、それを目標にチャレンジし続ければ、必ずチャンスは来ます。

モデルの爪は千差万別。厳しさを強いた世界選手権

滝本:世界ネイリスト選手権のハンドモデルは公募、第1次審査は写真で行ったのですが。
仲宗根:初めて手を見せてもらったのは、競技当日。写真とは違って、ホワイトスポットや剥離があったりで。モデル審査で、あまり状態の良くない人には加点するなど配慮はしたのですが。
水野:スカルプをつけるのも初めてで、指が硬直してフォームが飛んでしまったモデルもいましたね。
仲宗根:出場選手も大変でしたよ。抽選で決まった、自分のモデルはバーチャルの必要があるのかないのか。
田能:選手たちは中間色を含めて5色ずつくらい用意していましたね。
仲宗根:そこが世界の大会です。
水野:技術の引き出しを幾つも持って、どんな条件にも対応していくのです。
田能:ふつう、選手は練習でモデルとコミュニケーションを重ねて大会に臨みます。慣れたモデルでも選手は緊張しています。ましてや…、
仲宗根:初対面のモデルというのは、アメリカではよくありますよ。爪の形も違う、外人モデルというケースが。

水野:渡航費用もかさむので、通りすがりの人をキャッチしたりですね。日本はお互いを知り尽くしたハンドモデルと出場できるのですから、上げ膳据え膳(笑)。全日本選手権のGC(グラチャン)はモデルを連れてくることが出来ますが、それが出来ないのも世界選手権ということなんですよ。
北村:バーチャルの必要なモデルか、きれいな爪のモデルか、選手は直前までわからないのですから大変です。
滝本:やはり世界トップレベルの選手は違いますね。モデルさんの爪もいろいろで、バーチャルが必要なモデルさんにあたってしまった選手も、きれいに仕上げていました。どんな爪であってもきれいに作る。さすが世界トップを競う競技だと実感しました。
水野:今後の課題はどうですか?
滝本:モデルの選出の方法ですね。
仲宗根:ハンドモデルについては、今後、実際に手を見て選考しましょう。出場選手に対する条件が同じになるよう、モデル選びも時間をかけて。
水野:そうして作品の完成度を上げていきたいですね。春の「国際ネイルフォーラム」で告知したり、半年がかりで準備できますから。
仲宗根:ハンドモデルコンテストをやってもいいですね。モデルバンクじゃないですが、リストアップした人の中から、コンテストに出場してもらうこともできると思います。

水野:真夏の祭典「アジアネイルフェスティバルin大阪2007」は、7月8日・9日に開催。第2回“アジア杯”も行います。大会実行委員長は私が務めさせて頂きますが、大会審査員長は仲宗根先生にお願いします。
仲宗根:公明正大、どなたにも納得いただけるように、今年の「アジアネイルフェスティバルin大阪2007」から、“全日本ネイリスト選手権”の審査基準は統一しましょう。
私たちはまた出てみたいと思えるコンテストを作り続けていきます。どんなイベントを盛り込もうと、JNAの大会はコンテストを主体にやっていきます。
北村:コンテストというのは、出場者それぞれに必ず得るものがあると思います。今後のご自身の糧となりますので、ぜひチャレンジを続けて頂きたいと思います。

JNA副理事長
教育委員会委員長
常任本部認定講師・GME
NSJネイルアカデミー院長
ネイルズ仲宗根(株)代表取締役

JNA理事・講師会会長
国際委員会委員長
常任本部認定講師
GME
(株)ネイルズユニークオブジャパン代表取締役社長

JNA理事・講師会副会長
国際委員会副委員長
常任本部認定講師
GMEジェシカネイルカレッジ学院長

JNA常任本部認定講師・ME
組織委員会/北海道地区委員長
ラミューズネイルアカデミー院長
(株)ラ・ミューズ代表取締役

JNA常任本部認定講師
組織委員会/関東地区副委員長
広報委員会委員ネイルスタジオ ラルジュ主宰
(有)ラルジュ代表取締役